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お墓のあり方はどう変わっていく?最新の動向とこれからの供養方法は?

「お墓」と聞いて、皆さんはどのようなイメージを思い浮かべますか?伝統的な墓石のイメージで、「〇〇家之墓」と刻まれた家墓を想像する人も多いでしょう。明治時代以降、こうした「家墓」は日本中に広がり、多くの家庭で代々継がれてきました。

しかし、近年では家墓とは異なる、新しい形の供養方法やお墓が登場し、選択肢が広がっています。少子高齢化や核家族化、都市化が進む中で、これからのお墓はどのように変わっていくのでしょうか。今回は、最新の動向や今後の供養方法について詳しく解説します。

 

跡継ぎのいらないお墓を選ぶ人が増えている

かつて、日本では家族が代々お墓を受け継ぐ「家墓」が一般的でした。しかし、現代社会ではこの伝統的な家墓のあり方が徐々に変わりつつあります。少子高齢化や都市部への人口集中が進み、家族の形や価値観が多様化した結果、家墓を継ぐ人がいない家庭が増えています。

そこで、跡継ぎがいなくても無縁仏にならない「永代供養墓」が注目されています。永代供養墓とは、家族や親族がいなくても、お寺や墓地の管理者が故人の供養を続けてくれるお墓です。これにより、家族に負担をかけることなく、安心して自分のお墓を持つことができるようになりました。

 

永代供養墓の広まり

永代供養墓が広まった背景には、都市化と家族の分散が大きく影響しています。1980年代には、都市部への人口流出が加速し、地方に住んでいた家族が都市に移り住むケースが増えました。この結果、故郷にある家墓を管理する人がいなくなるという問題が発生しました。

こうした時代の変化に対応するため、1985年に比叡山延暦寺で「久遠墓地」という永代供養墓が初めて作られ、以降、全国各地に広がりました。現在では、個人や夫婦単位で利用できる永代供養墓が一般的になりつつあります。

 

増える「墓じまい」と改葬の動向

「墓じまい」という言葉をご存知でしょうか?これは、既存の家墓を撤去し、遺骨を他の場所に移すことを指します。少子化や核家族化が進む中、跡継ぎがいなくなった家庭では、家墓の維持が難しくなっています。その結果、家墓を撤去して、より手軽な供養方法に移行する「墓じまい」が増えています。

 

改葬件数の増加

厚生労働省が発表する「衛生行政報告例」によると、近年、全国での「改葬件数」が増加傾向にあります。改葬とは、既存の墓地から別の墓地や納骨堂に遺骨を移すことです。家墓の維持が難しい家庭が増えた結果、遺骨を管理の負担が少ない場所に移す動きが進んでいます。

 

お墓を持たない「散骨」も一般的になる?

「散骨」という言葉も近年、聞く機会が増えています。散骨とは、遺骨を粉末状にして自然に撒く供養方法です。従来の墓地に埋葬するのではなく、遺骨を自然に還すという考え方に基づいています。

 

散骨の始まりとその普及

日本で初めて散骨が行われたのは1991年のことです。「葬送の自由をすすめる会」が相模湾で散骨を実施したのがきっかけで、その後、少子化や家族構成の変化に伴い、従来の家墓に代わる供養方法として注目されるようになりました。

散骨は法的には明確な規定がなく、現在も黙認されていますが、ガイドラインの整備が進められています。厚生労働省も散骨事業者向けのガイドラインを発表し、適切な手続きや方法に基づいて行われる散骨が推奨されています。

 

新しいお墓の形とは?

現代では、従来の墓石型のお墓だけでなく、さまざまな形のお墓が登場しています。ここでは、最近広まっている新しいお墓の形態を紹介します。

合葬墓(合祀墓)

合葬墓は、血縁関係のない不特定多数の遺骨を一つの納骨室に収めるお墓です。複数の遺骨を一緒に祀ることから「合祀墓」とも呼ばれます。合葬墓は、個人のお墓に比べて費用が抑えられ、1人あたり3万~30万円程度で利用できることから、経済的な選択肢としても人気です。

樹木葬

樹木葬は、墓石の代わりに樹木や草花を墓標として遺骨を埋葬する形式です。1999年に岩手県で初めて登場し、以降、自然志向の方を中心に人気を集めています。樹木葬では遺骨を土に還すことが多く、自然との共生を重視した供養方法です。

納骨堂

納骨堂は、屋内に遺骨を安置する施設です。都市部では、自動搬送式納骨堂が増加しており、カードを使って遺骨を参拝室まで運んでくれる機械が導入されています。納骨堂は天候に左右されず、いつでも快適に参拝できることから、多くの都市住民に選ばれています。

永代供養付き一般墓

永代供養付きの一般墓は、従来の墓石型のお墓に永代供養がついたものです。跡継ぎが途絶えた後も、墓地管理者が供養を続けてくれるため、安心してお墓を建てることができます。

 

お墓を持たない供養の方法

近年では、お墓を持たずに供養する方法も広がっています。経済的な負担が少ないため、特に高齢化が進む社会で注目されています。

散骨

前述の通り、散骨は遺骨を粉末状にし、自然環境に撒く供養方法です。海や山に撒くことが一般的で、自然に還るという意味合いを持っています。遺骨をお墓に納めるのではなく、自然の一部として還すという考え方が、現代の価値観に合っています。

送骨

送骨とは、遺骨を郵送して供養してもらう方法です。主に合葬墓に納骨されることが多く、比較的安価に供養を依頼することができます。送骨を利用することで、手間や費用を抑えつつ、供養が行える点がメリットです。

手元供養(自宅供養)

手元供養とは、遺骨を自宅に安置して供養する方法です。遺骨の一部をオブジェやペンダントに納め、常に故人を身近に感じながら供養することができます。ただし、最終的には遺骨を納骨する必要があるため、最終的な供養方法を考えておくことが大切です。

 

これからのお墓のあり方は?

現代の社会背景を踏まえると、これからのお墓のあり方も個人のニーズや家族の事情に合わせて変化していくでしょう。核家族化や少子高齢化が進む中、従来の家墓の形が時代に合わなくなり、個人や夫婦のみの供養方法が増えていくことが予想されます。

さらに、散骨や手元供養のように、お墓を持たない供養の形も広まっていくでしょう。今後、法律やガイドラインの整備が進むことで、より多様な供養方法が選べる時代がやってくるかもしれません。

 

まとめ

お墓のあり方は時代とともに変化し、従来の家墓に代わる新しい供養方法が広がっています。跡継ぎがいなくても安心して供養できる「永代供養墓」や、自然に還る「散骨」、そして室内で快適に供養できる「納骨堂」など、さまざまな選択肢が登場しています。

今後も、社会の変化に伴ってお墓や供養の形は多様化していくでしょう。自分や家族に合った供養方法を選び、故人を大切に供養することが、これからの時代に求められる新しい形の供養です。

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