公開日:2024年11月01日
更新日:2024年10月31日
一日葬・火葬式との違いは?直葬で失敗しないためのポイント
はじめに
直葬(ちょくそう)は、宗教儀式を伴わず、火葬だけを行うシンプルな葬送方法です。家族葬や一日葬など、さまざまな葬儀スタイルが登場する中でも、直葬は費用を抑えたい場合や参列者を最小限にしたい場合に選ばれています。しかし、葬送は一度きりの大切な儀式です。シンプルである一方で、家族や親族が直葬を理解していないと後悔することもあります。
本記事では、一日葬・火葬式との違い、直葬を選ぶ際のメリット・デメリット、さらには後悔しないためのポイントを解説します。家族としっかり話し合い、納得のいく葬送を行うための参考にしてください。
1. 直葬とは?
直葬は、宗教的な儀式を行わずに火葬のみで済ませる葬儀形式です。通常、ごく親しい身内だけが参列し、火葬場で短時間のうちに葬送が完了します。参列者は10名以下で行われるケースが多く、火葬後に遺骨を収める「骨上げ」のみを行います。
火葬式との違い
火葬式も火葬のみで完了する葬送形式ですが、僧侶の読経供養を伴う点が直葬との違いです。火葬場での読経の他、出棺前や安置所で儀式を行うこともあります。僧侶を依頼する場合、3万円〜10万円ほどのお布施が必要です。
一日葬との違い
一日葬は、通夜を省略して葬儀・告別式・火葬を1日で完了するスタイルです。宗教的な儀式を含むため、葬送全体に5時間ほどかかります。直葬は火葬のみで済ませるため、所要時間は1〜2時間程度です。
密葬との違い
密葬は、社会的地位の高い故人に多く見られ、本葬の前にごく親しい人たちだけで行う葬儀です。直葬とは異なり、本葬を予定しているため、宗教儀式を伴うことが多い点が特徴です。
2. 直葬のメリット
経済的負担が軽減される
直葬は宗教儀式を伴わないため、費用を大幅に抑えられます。直葬の平均費用は10万円〜40万円ほどで、家族葬や一般葬に比べて安価です。
精神的・体力的な負担が少ない
火葬のみで済ませる直葬は、儀式の準備や参列者への気遣いが不要なため、ご遺族の負担を軽減します。葬送時間が短いため、高齢の方も参列しやすいでしょう。
火葬場の予約が取りやすい
宗教的儀式がないため、火葬場の予約が取りやすく、待機日数も短縮できます。安置所での保管日数が短くなれば、その分の費用も節約できます。
参列者の負担が少ない
参列者も少人数であるため、経済的・精神的な負担が軽くなります。香典を辞退する場合が多いため、参列者も香典を用意する必要がありません。
「0葬」の選択肢
直葬の一部では、火葬後に遺骨を引き取らない「0葬」も選ばれます。遺骨を持ち帰らず火葬場に任せるため、納骨の費用もかかりません。ただし、0葬は地域によって対応が異なるため、事前確認が必要です。
3. 直葬のデメリット
家族・親族の理解を得にくい
直葬は宗教儀式を省略するため、「成仏できない」「浮かばれない」といった意見を持つ親族がいる場合、トラブルの原因になりやすいです。
グリーフケアの不足
葬儀や通夜の儀式は、故人の死を受け入れるための大切なプロセスです。直葬では、こうした儀式が省略されるため、ご遺族が後悔する可能性があります。
菩提寺への納骨が難しい
宗教儀式を伴わない直葬では、菩提寺から供養不足とみなされ、納骨を断られる場合があります。納骨を希望する場合は、事前に菩提寺に相談することが重要です。
葬祭費補助金の支給がされない場合がある
直葬は宗教儀式がないため、葬祭と認められず、自治体からの葬祭費補助金が支給されないケースもあります。自治体に確認してから決めましょう。
4. 菩提寺とのトラブル回避の方法
戒名を依頼する
菩提寺に納骨するには、戒名を授かることが必要です。戒名を付けない場合、納骨を拒否される可能性があります。
読経供養を依頼する
直葬後に菩提寺へ納骨を希望する場合、供養が不足していると判断されることがあります。僧侶の読経供養を依頼し、菩提寺との信頼関係を築きましょう。
5. 直葬後の納骨先の選択肢
合祀墓・永代供養墓
合祀墓や永代供養墓は、宗教に関係なく利用でき、継承者が不要です。費用も3万円〜10万円と安価で、一度納骨すると取り出せません。
樹木葬
自然葬の一種である樹木葬は、個別や合祀型を選ぶことができ、費用は5万円〜80万円ほどです。樹木を墓標にするため、宗教的な制約がありません。
海洋散骨
ご遺骨を海に撒く海洋散骨も、自然に還る方法として人気です。ただし、一度散骨すると遺骨は戻せません。
納骨堂
屋内で遺骨を管理する納骨堂は、都市部に多く、アクセスが良いのが特徴です。永代供養付きの施設もあり、費用は20万円〜180万円と幅広いです。
手元供養
遺骨を自宅で供養する手元供養は、パウダー状の遺骨を小さな骨壺に納めたり、ペンダント型の容器に収める方法があります。費用は数千円から始まり、仏壇を整える場合はさらに費用がかかります。
まとめ
直葬は、経済的負担を抑え、シンプルに故人を見送るための有効な方法ですが、家族や親族との話し合いが欠かせません。後悔のない葬送にするためには、直葬のデメリットを理解し、納骨先や供養方法を慎重に選ぶことが重要です。菩提寺との関係や補助金の支給要件など、事前に確認しておくべきことも多いでしょう。
故人への思いは人それぞれです。直葬後も手元供養や樹木葬、納骨堂など、多様な供養方法があります。後悔のない選択ができるよう、家族で十分に話し合い、納得のいく形で故人を見送りましょう。